
産業DXの未来を支える、空間ID・点群データ連携によるデジタルツイン&ドローン航路システム開発事例
産業DXのためのデジタルインフラ整備事業/3次元空間情報基盤に関する研究開発/空間IDを活用した3次元空間情報基盤の開発

未来の地図づくり、その裏側
本プロジェクトは、NEDO様(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が主導するデジタルインフラ整備事業の一環として、空間IDを活用した3次元空間情報基盤の構築および実証を目的としています。従来の地図データは2次元が主流でしたが、自律移動ロボットやドローンの自動運行には、建物の高さや道路の立体構造など3次元空間情報が不可欠です。空間IDという共通インデックスを軸に、地物(建物や道路、河川など)データを統合・活用し、先端的なデジタルツイン環境の実現を目指しました。
テクノクレアが担当した工程と技術領域
- プロジェクトマネジメント
- 要件定義
- DB・API設計
- API開発
- テスト・運用
- ※パートナー企業様とは一部開発・テスト業務を分担
技術スタック
- 開発言語・フレームワーク
- C++
- PHP(Laravel)
- JavaScript
- PowerShell
- 開発言語・フレームワーク
- Webシステム(地図インターフェース)
- CLI(コマンドラインインターフェース)
- API開発
現場で活用されているシステム画面
使いやすさを支える工夫
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01コマンドの作成
各処理は特定のコマンドを順に実行する必要がありますが、ユーザーが操作に迷わないよう、ドロップダウンリストを上から順に選択していくだけで、対応するコマンドが自動で生成・表示される仕組みを導入しています。これにより、ユーザーはコマンドを覚える必要がなく、正確かつ効率的に処理を進めることができます。
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02空間IDの表示
作成対象となるエリアや空間IDを、画面上の地図を直接クリックすることで簡単に取得・表示できる仕組みを実装しています。 これにより、対象範囲の選定が直感的に行えるだけでなく、誤入力のリスクを避けつつ、作成対象データの空間IDをリアルタイムで確認できるようになっています。選択された空間IDは、画面右上にある情報パネル内に表示され、データ作成の対象確認にも活用できます。
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03作成状況の視認性向上
作成状況を視認できるWebシステムを開発し、処理の進行状況やステータスを一目で確認できるようにしました。
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04データマージの自動化
データのマージが必要な場合もWebシステム上から選択することでマージファイルを自動で作成する機能を実装しています。
デザイン・UXへのこだわり

UX設計のコンセプト
複雑なコマンド入力や手動作業に頼らなくても、必要な操作がステップ順にナビゲートされる設計や、視覚的な地図連携による空間ID選択の簡易化など、現場の使いやすさにこだわった体験を重視しました。

インターフェース設計のポイント
利用者が迷わず操作できるよう、CLIでは全コマンドに —help を実装し、引数の説明を出力できるようにしました。 また、configファイルは—config=で指定するなどコマンドライン引数にわかりやすい命名規則を採用しました。 作成状況を視認できるWebシステムも併せて開発し、処理の進行状況やステータスを一目で確認できるようにしました。さらに、システム上ではドロップダウンリストから必要な項目を選択することで、対応するコマンドが自動で表示される機能を実装し、コマンド入力ミスの防止と操作性の向上を図っています。
プロジェクト成果とクライアントからの評価

ユーザビリティがもたらした改善効果
本システムは研究開発プロジェクトとして、限られた関係者間(コンソーシアム内)での運用を実施。運用初期に頻発していたAPI実行方法に関する問い合わせが、システム導入後にほぼ解消され、ユーザビリティの向上を実現しました。

信頼と満足がつなぐ未来への道筋
本案件では、要件定義から運用まで一貫して任せていただき、特に仕様や品質に関する大きな修正依頼やトラブルもなく、納品・運用できました。全工程を任され、継続的な利用が続いていること自体が一定の信頼と評価につながっていると考えています。現在の機能で問題なく運用が行われており、一定の満足をいただいています。さらに、将来的にはデータ作成のさらなる効率化や追加機能へのニーズもいただいており、今後のアップデートに向けた可能性も広がっていると考えています。
担当者コメント
点群データ処理という精密さが求められる領域において、地物抽出のロジックやデータ分割の手法にこだわりつつ、現場データの多様性に対応する柔軟な実装と運用の現実性を重視して開発を進めました。処理対象が都市全域に及ぶ場合の運用負荷や、データ品質による閾値設計の難しさを通じて、堅牢性と適応性を両立するシステム設計の重要性を実感しました。